相続登記の義務化(2024 年 4 月)と住所変更登記の義務化(2026 年 4 月)で、司法書士事務所への相談は増えています。はじめて登記に関わる方が多く、必要書類の案内や手続きの説明を、一人ひとりに分かる言葉で繰り返す場面が増えました。
この記事では、司法書士事務所で使えるプロンプトを 10 本、コピーしてそのまま使える形で紹介します。あわせて、戸籍や登記簿の情報を守るための入力ルールと、事務所でプロンプトを揃えて使う方法をまとめます。
この記事でわかること
- 生成AIを使う前に決める 3 つのルール(守秘義務と、戸籍・登記簿の扱い)
- 相続・不動産取引・問い合わせ対応で使えるプロンプト 10 本
- 良いプロンプトを事務所で揃えて使う方法
この記事のプロンプト一覧
| 業務 | プロンプト | 時間が減るところ |
|---|---|---|
| 相続 | ① 聞き取り項目の整理 ② 必要書類の案内 ③ 相続関係の確認メモ | 聞き取りと案内を組み立てる時間 |
| 義務化への対応 | ④ 義務化のお知らせ文 ⑤ 名義の確認を勧める案内 | 制度を説明する時間 |
| 不動産取引 | ⑥ 決済日の案内 ⑦ 見積りの説明 | 持ち物・費用を説明する時間 |
| 説明・報告 | ⑧ 登記手続きの説明 ⑨ 登記完了の報告 | 同じ説明を繰り返す時間 |
| 問い合わせ | ⑩ 問い合わせへの返信 | 一から書く時間 |
使う前に決める 3 つのルール
司法書士には司法書士法第 24 条で秘密を守る義務があります。戸籍・登記簿・遺産分割の内容は、どれも外に出してはいけない情報です。使い始める前に、次の 3 つを事務所で決めておきます。
- 個人が分かる情報は入れない — 氏名・本籍・住所・不動産の所在地番は入力しない。〔被相続人〕〔相続人A〕〔物件1〕に置き換え、関係と事実だけを入れる
- 学習に使わない設定を確認する — ChatGPT なら設定の「データコントロール」で、入力内容をモデルの改善に使わない設定にする
- 判断は司法書士が行う — 相続関係・必要書類・登録免許税の判断は AI に任せない。AI に頼むのは、聞き取りの整理とご案内文の下書きまで
各 AI の「学習させない設定」の場所は、「士業事務所が生成AIを使う前に決める3つのこと」で画面つきで説明しています。
相続
① 聞き取り項目の整理
相談の概要から、初回に聞いておくべき項目を整理します。他の専門家につなぐべき点も一緒に出させます。
※入力前に: 氏名・本籍・住所などは〔被相続人〕〔相続人A〕のように置き換えてください。
あなたは相続の相談の聞き取りを手伝う司法書士事務所のアシスタントです。相続の相談で、初回に聞いておくべき項目を、相談内容に合わせて整理してください。
<consultation>
{相談の概要}
</consultation>
<rules>
- 他の士業の業務(相続税の申告、争いになっている遺産分割の交渉など)にあたる点は、その旨を示してください。
- これは司法書士が確認する前の下書きです。
</rules>
<output_format>
1. 家族関係について聞くこと
2. 財産(不動産・預金など)について聞くこと
3. 遺言・遺産分割の状況について聞くこと
4. 他の専門家につなぐべき点
</output_format>② 必要書類の案内
聞き取りの結果から、お客様に用意してもらう書類と、事務所で取得できる書類を分けて案内します。
あなたは司法書士事務所の職員です。相続登記の必要書類をお客様に案内するメールを書いてください。
<case>
- 遺言の有無: {あり(公正証書/自筆)/なし}
- 遺産分割協議: {する/しない}
- 相続人の人数: {人数}
- 不動産の数と所在の都道府県: {例: 2筆、同一県内}
- 事務所で取得を代行するもの: {例: 戸籍、固定資産評価証明書}
</case>
<rules>
- 事案によって必要かどうかが変わる書類は「ご事情による」と明記してください。
- お客様に用意してもらうもの/事務所で取得するものを分けてください。
- これは司法書士が確認する前の下書きです。
</rules>③ 相続関係の確認メモ
聞き取ったご家族の関係を、相続関係説明図を作る前の確認メモに整理します。
あなたは司法書士事務所のアシスタントです。聞き取ったご家族の関係を、相続関係を確認するためのメモに整理してください。
<family>
{聞き取った家族関係(例: 被相続人の配偶者は存命、子は2人、うち1人は先に死亡し孫が1人)}
</family>
<rules>
- 聞き取りの内容だけで整理し、推測で人を足さないでください。
- 戸籍で確認が必要な点(前婚の子、養子縁組の有無など)を必ず挙げてください。
- 相続分の計算はしないでください。
</rules>
<output_format>
1. 関係の一覧(被相続人から見た続柄)
2. 戸籍で確認が必要な点
3. お客様に追加で聞くこと
</output_format>義務化への対応
④ 義務化のお知らせ文
相続登記と住所変更登記の義務化を、ホームページやお客様への案内で伝える文章を作ります。法務省の資料を貼り付けて、その範囲で書かせます。
あなたは司法書士事務所の広報を手伝うアシスタントです。次の資料をもとに、一般の方向けのお知らせ文を書いてください。
<source>
{法務省の資料・パンフレットの該当部分}
</source>
<topic>
{相続登記の義務化/住所等の変更登記の義務化}
</topic>
<rules>
- 資料に書かれていないことを足さないでください。
- 期限と、対象になる人を最初に書いてください。
- 不安をあおる表現は使わず、「まずは名義の確認から」と相談につなげてください。
- 400字以内。
</rules>⑤ 名義の確認を勧める案内
過去にご依頼いただいたお客様に、親名義のままの不動産がないか確認を勧める案内を作ります。
あなたは司法書士事務所の職員です。過去にご依頼いただいたお客様に、不動産の名義の確認を勧めるお便りを書いてください。
<points>
- 伝えたいこと: {例: 相続登記の義務化は過去の相続も対象}
- 事務所でできること: {例: 登記簿の取得による名義の確認}
- 費用の目安: {金額}
</points>
<rules>
- 売り込みの印象にならないよう、確認を勧める程度にしてください。
- 300字以内。
</rules>不動産取引
⑥ 決済日の案内
売買決済の日時・場所・持ち物を、売主・買主それぞれに案内します。
あなたは司法書士事務所の職員です。不動産の売買決済の案内メールを書いてください。
<settlement>
- 宛先: {売主様/買主様}
- 日時: {日時}
- 場所: {金融機関名・支店名・住所}
- 持ち物: {本人確認書類、実印、その他}
- 当日の流れ: {本人確認・書類確認 → 代金の授受 → 登記の申請}
</settlement>
<rules>
- 持ち物はチェックリストの形にしてください。
- 都合が悪くなったときの連絡先を書いてください。
</rules>⑦ 見積りの説明
司法書士報酬と、登録免許税などの実費の違いを、お客様に分かる言葉で説明します。
あなたは司法書士事務所の職員です。次の内容で、お客様にお見積りを送るメールを書いてください。
<estimate>
- 手続き: {手続きの名称}
- 司法書士報酬: {金額}
- 登録免許税: {金額(事務所で計算したもの)}
- その他の実費: {金額の目安}
</estimate>
<rules>
- 報酬と実費(税金・証明書代)の違いを1行で説明してください。
- 金額は与えられたものだけを使い、計算し直さないでください。
- 評価額の確定などで金額が変わる場合があることを添えてください。
</rules>説明・報告
⑧ 登記手続きの説明
はじめて登記に関わる方向けに、手続きの流れとお願いしたいことを説明します。
あなたは登記をやさしく説明するのが得意な司法書士事務所のアシスタントです。登記の手続きの流れを、はじめての方に向けて説明してください。
<procedure>
{手続きの名称と流れの要点}
</procedure>
<customer>
{お客様の状況}
</customer>
<rules>
- 期間・費用は、与えられた情報の範囲でだけ書いてください。
- 専門用語(登記識別情報、登記事項証明書など)には短い説明を付けてください。
</rules>
<output_format>
1. 全体の流れ(ステップごとに1〜2行)
2. お客様にお願いすること
3. よくある質問(3問)
</output_format>⑨ 登記完了の報告
登記の完了と、お渡しする書類、その保管方法を伝えます。
あなたは司法書士事務所の職員です。登記の完了をお知らせするメールを書いてください。
<completion>
- 登記の種類: {例: 相続による所有権移転}
- 完了日: {日付}
- お渡しする書類: {登記識別情報通知、登記完了証、登記事項証明書、お預かりした原本}
- お渡し方法: {方法}
</completion>
<rules>
- 登記識別情報通知が大切な書類であることと、保管の注意(目隠しシールははがさない)を書いてください。
- ご依頼へのお礼で締めてください。
</rules>問い合わせ
⑩ 問い合わせへの返信
ホームページや電話の問い合わせに、相談の受け方を添えて返信します。
あなたは司法書士事務所の問い合わせ対応を手伝うアシスタントです。問い合わせに対する返信の下書きを作ってください。
<inquiry>
{問い合わせの内容}
</inquiry>
<our_service>
{事務所で対応できる業務、料金の目安、相談の受け方}
</our_service>
<rules>
- 他の士業の業務にあたる相談は、その旨と、適切な専門家に相談する必要があることを書いてください。
- 料金は「目安」として書き、正式なお見積りはご相談のあとと伝えてください。
- これは司法書士が確認する前の下書きです。
</rules>
<output_format>
1. 返信メール(件名・本文)
2. 初回相談で確認したいこと(箇条書き)
</output_format>良いプロンプトを事務所で揃えて使う
「推測で人を足さない」「金額は計算し直させない」「他の士業の業務はつなぐ」。こうした指示は、事務所の全員が同じプロンプトを使ってはじめて効果が出ます。良いプロンプトが個人のメモに散らばっていると、使う瞬間に探す手間がかかり、結局は自己流に戻りがちです。
標準機能で十分な人
- •生成AIを使うのは自分だけで、プロンプトも数本しかない
- •使う AI は 1 つだけで、PC からしか使わない
PasteSync が向いている人
- ✓補助者や職員と、同じプロンプト・同じ文面を使いたい
- ✓相続のご案内文とプロンプトを、同じ場所から呼び出したい
- ✓外出先(決済の現場など)でもスマホから文面を貼りたい
まとめ
- 戸籍・登記簿の情報はそのまま入れない。関係と事実だけを、置き換えて入力する
- AI に頼むのは聞き取りの整理とご案内文の下書きまで。相続関係・必要書類・税額の判断は司法書士が行う
- 良いプロンプトは事務所で 1 つの置き場所に集め、使う瞬間に手元に出せるようにする